NAOZANE「あなたの身近な法律相談」アーカイブ

第 2回(「TOWN NEWS NAOZANE®」2020年9月号掲載)

テーマ:介護と遺産相続について

相続を巡る問題の一つに,介護の努力が正当に評価されないというものがありました。
特に,夫または妻の高齢の両親と同居した方の「配偶者による介護・看護」が
遺産の分配時に評価されず,悔しい思いをしているというご相談を受けたことがあります。

2019(令和元)年7月1日より改正相続法が施行され,
いくつかの相続に関するルールが変更されました。
本記事では,改正相続法で変更されたルールのうち,
相続人でない親族による無償の看護等についての「特別寄与料」を紹介しました。
夫または妻の両親と同居して介護を行った方の労苦が金銭で補償されるようなイメージです。
典型的には「夫が亡くなった後,妻が夫の両親の介護を無償で行った」場合に適用があります。
相続人が介護を行った場合には「寄与分」(民法第904条の2)の問題となります。

要件は大きく2つあります。

  1. 被相続人の親族であること
  2. 無償で療養看護その他の労務の提供をし,被相続人の財産増加・維持に寄与したこと

1つ目の要件には,「はとこ」や「孫(相続人でない場合)」(=親族)を含みますが,
「相続放棄をした者」や「内縁の夫・妻」が入らないことに注意が必要です。
2つ目の要件については,有償での労務提供の場合は除外されます。
生活費を被相続人に負担してもらっていたとい場合は基本的には除外されません。
看護をした場合の特別寄与料を裁判所が決める場合の計算方法は以下の計算式で算出されます。
「日当額(介護報酬相当額=5,000~8,000円)×介護日数×裁量割合(0.5~0.9)」
ざっくり計算する場合は「4,000円×実際に看護した日数」がおおよその目安になるでしょう。